ジモット人 INTERVIEW

ジモトを愛する方々にインタビューしました!

vol.20|安田屋呉服店 店主 羽生田靖博さん

愛すべき街・本牧の構成員のひとりとして
地域にかかわるのは当たり前のこと

1911年(明治44年)に横浜の元町で創業、現在は本牧の地に移った安田屋呉服店は和服や祭用品を扱っています。その店主・羽生田靖博さんは、本牧リボンファンストリート商店会の会長であり、11の商店街が参加する山手地区商店街連合会の会長も務め、地域と深いかかわりを持っています。JIMOTTOも注目する本牧エリアの魅力、さまざまな取り組みや今後の展望など、本牧愛に溢れたお話をうかがいました。

 

「安田屋呉服店」がある本牧リボンファンストリート商店会


― まずは安田屋呉服店について教えてください

私の祖父が明治44年に横浜の元町で始めた呉服屋で、大正15年にこちらに移ってきました。大正12年に関東大震災が起こり、復興には今の時代よりもずっと時間がかかることから元町にはいられなくなって、すべてを失った状態で本牧に移ってきたと聞いています。現在も変わらず、呉服や和装雑貨、本牧で450年以上続く「お馬流し」などに欠かせない祭用品を扱っています。

 

― 羽生田さんは安田屋呉服店のある本牧リボンファンストリート商店会の会長、
  山手地区商店街連合会の会長を務めていらっしゃるそうですね。
  最近、商店街ではどのような活動をされていますか?

商店街は時代によってやるべきことが変わるので、「できることを話し合いながらやっていきましょう」という考えのもと、会長を務めさせてもらっています。
商店街は商人の集まりですから、それぞれの売上を上げることを前提に、商店街の活性化や来客数の増加を目指しています。子供110番とか地域の見守りもしていますし、ハロウィンやクリスマスなど季節のイベントを開催して、お子さんにも商店街に来てもらえるような取り組みをしています。ほかには「商店街魅力アップ事業」の一環で「SDGs商店街プロジェクト」として近隣小学生と連携した企画なども進めています。

 

商店街の活性化を目指してつくられた「HOMMOKU BASE」


― 「HOMMOKU BASE(ホンモクベース)」はどのような場所ですか?

経済産業省の「地域まちなか商業活性化支援事業」で、本牧リボンファンストリート商店会が主体となり、助成金を受けて立ち上げたコミュニティスペースです。その頃、商店街に人が集まらなくなっていたので、多くの人に来ていただくために「何をすればいいか」「何があるといいか」という地域ニーズを、横浜市中区役所が調査してくれたんです。その結果、バリアフリーで、授乳室が必要で、ちょっとした休憩スペースがあると人が集まりやすいことがわかったので、そういう場所を整備しようと。今ではカフェ利用だけでなく、料理教室や発酵食品の体験型講座、体操教室など、地域の方に少しずつ使っていただけるようになりました。とはいえ、新型コロナウイルス感染症のまん延により思ったような活動がなかなかできませんでした。だから、これからだと思っています。


 

― コミュニティラジオ局が併設されているのも特徴ですよね。

そうですね。「横浜マリンエムエム」の代表の笹原延介さんが、3.11のときに被災地に入って支援活動をされた際にコミュニティ放送局が一定の役割を果たしていることを見て「これは横浜にも必要だ」と。防災の観点からコミュニティ放送局をつくろうとしていた笹原さんと商店街の活性化を目指す我々とで話し合って、一緒にやっていこうということになりました。まずはコミュニティカフェをオープンさせて、その後に「マリンFM」が開局しました。


― ご自身のお店のことだけでなく地域の活動にも積極的にかかわられる、
  その原動力は何ですか?

例えば、お祭り。いろいろな意見がありますが、僕自身はとても重要なものだと思っています。お祭りには長い歴史があり、それを継承していくのが神社です。うちは神社の半纏や手ぬぐいをつくらせていただいているので、自ずと街とのかかわりができてくるんですよね。街があってうちの店があると思っています。それに商人は町の構成員の一部、かかわるのは当たり前ですよね。

 

JIMOTTOに新たなコンテンツをもたらした本牧の魅力


― 「街ガチャ® in 本牧」が登場するなど、JIMOTTOと縁の深いこの街の魅力を教えてください。

本牧はすごく住みやすい街です。緑があって、学校もあるし、これまで大きな事件も起きてこなかった。愛すべき街だと思いますね。身近なところでは、商店街には行列のできる中華料理店や惣菜店、肉や麺の専門店など多くの人気店があるんですよ。
それに本牧は開港の舞台であり、エポックメイキングな出来事が起きた土地でもあるんです。ちなみに、「本牧(ほんもく)」という地名は日本中探してもここだけなんですよ。


― 「本牧テーマパーク構想」という大きなプランがあるそうですね。

テーマパーク構想の基礎となるハビタット・アイランドという考え方があって、生息地を意味する言葉なんです。本牧という住所ではなく、もっと大きなエリアとして本牧をとらえると、水族館があるし博物館もある。三渓園という有名な庭園もあれば自然公園もある。そんな場所は他にはないんです。これらをテーマパーク的なアイデアを持ってゾーン分けすれば、外から人が来てくれるだろうし、中に住む人はもっと街のことに興味が持てるようになるのではないかと考えたものなんです。
ここで生きている限りは、街が安定して、適切に循環していくといいなと思うし、「今、できることはないか?」と考える。それは僕だけじゃなくて、いろいろな人がしていることですよね。

 

お互いに交流して、横浜を盛り上げたい


― 今後、JIMOTTOが一緒にできることはありますか?

……それを今、考えてくれてるんじゃないの(笑) 僕は本牧というところしか分からないけれど、いろいろな町で活動しているJIMOTTOと僕たちとがお互いに交流をしながら、JIMOTTOがプロデューサーとして、本牧を盛り上げていくためにサポートしてもらえるといいなと思います。