ジモット人 INTERVIEW

ジモトを愛する方々にインタビューしました!

vol.16| 蔦金商店 代表取締役 出川雄一郎さん

根底にあるのは生まれ育った横浜への愛
市場を中心に、かつての賑わいを取り戻したい
蔦金商店 代表取締役 出川雄一郎さん

明治27年(1894年)創業の海苔問屋「蔦金(つたきん)商店」は、日本で3番目、東日本では最初の中央卸売市場として昭和6年(1931年)に開設された横浜市中央卸売市場に店を構えています。現在は5代目である出川雄一郎さんが代表を務め、全国各地の海苔を取り扱っています。自身の店はもちろん市場全体や地域を盛り上げるさまざまな活動に参加されている出川さんに、生まれ育ったジモト・横浜についてうかがいました。

 

大規模再開発により変化、進化を続ける横浜駅・東口エリア

― 生粋のハマっ子である出川さんから見て、最近の横浜はどんな印象ですか?

昔は、横浜駅の東口といえば何もなかったんですよ。横浜市中央卸売市場ができたのが昭和6年で、90年以上経ちます。うちの前の踏切を渡って、横浜駅の東口までまっすぐ伸びている道路は今も変わりませんが、辺りは野っ原(笑) 「スカイビル」がポツンとあるだけで、この辺りから横浜駅が見えたなんて言われていたんですよ。

― 今では想像できない姿ですね

そうですね。西口は以前から開けていたんですが、駅ビルがなく、地下街もない東口はそんな感じです。そんななかで、横浜で唯一の市場として横浜市中央卸売市場ができた頃は賑わっていましたよ。私がこちらに引っ越してきたのは小学3年生くらいの頃だったんですが、今でも覚えているのは、土曜日や連休の前になると市場へ買い付けに来たお客さんが国道15号線までズラーっと並ぶ様子。毎日活気があってすごかったですよ。

― 市場を取り巻く環境もずいぶん様変わりしたんですね。

最近は、商店街や個人の商店にとっては厳しい時代が続いて、市場へ来るお客さまも激減しています。横浜からは少し足を伸ばせば東京ということで、横浜で商売する人が東京の豊洲や築地に流れてしまわないように、横浜市中央卸売市場を筆頭に我々も連携して、いろいろな取り組みをしているんですよ。 例えば、飲食店やホテルの方に市場に足を運んでもらって、直接、意見を聞く機会を設けたこともありました。すると、市場に通う回数が減り、ネットを使って全国から仕入れをされていることがわかったんです。確かに、早起きしなくてもクリックするだけで食材が届くのですから便利なものです。けれど、やはり我々、市場の人間からすると、実際に見たり、手に取ったり、会話ができる市場に来てほしい。以前のように活気のある市場を取り戻したいという思いが強いです。

 

行政、市場、商店街が協力して地域の賑わいづくりに取り組む


― 受け身ではなく、事業者の方と積極的にコミュニケーションを取られているんですね。最近は、市場の一般開放が話題になっていると聞きました。

市場の周辺に高層マンションが何棟も建ち、市場やうちの店にもお越しになる一般のお客さまが増えたんです。それで10年以上前から、横浜市中央卸売市場では毎月第1・第3土曜日は一般開放日として、広くどなたでも買い物をしていただけるようになっています。コロナ禍で中止になっていましたが昨年から再開し、マグロの解体ショーだけでなく、−40℃の超低温冷蔵室の中まで見学できる探検隊ツアーや魚の捌き方や料理教室などのイベントもこれから徐々に楽しめるようになると思います。

― 40℃の世界というのは市場ならではの体験ですね。お話をうかがっているだけで楽しそうです。

特に探検隊ツアーは子どもたちに人気なんですよ。こうしたイベントや体験を通して、一般の方に横浜市中央卸売市場のことや、この街について改めて知ってもらいたい。そして、お子さんを中心にした魚食ばなれを少しでも食い止めることができればと思っています。 この街に住み、働く人たち、行政、市場とが協力して街全体を盛り上げようとする機運が高まっていると感じています。


― 「蔦金商店」として独自に取り組まれていることもありますか?

独自の取り組みはありませんが、地元のイベント・マルシェなどお声がけを頂いた時は「地元や地域を盛り上げるお手伝いができるなら」と思い、出店させてもらっています。イベント・マルシェなどで同じ想いを持った仲間が集まるのも楽しいですし、励みになるんですよ。


― 直接お客さまと接点が持てるイベントは楽しそうですね。

イベントといえば、「横浜高島屋」で神奈川県が主催する名産展にも出ています。このイベントは、弟の哲朗(※タレントの出川哲朗さん)も店頭に立ってくれて。最初の頃は「なんか来ているな……」くらいの反応でしたが、最近は「一緒に写真を撮りたい」と言ってくださるお客さまの列ができるほどで。本当にありがたいことですよね。本人も「地元のためになるなら」とスケジュールを調整して、自分で車を運転して会場まで来るんですよ。

 

海苔を通して食文化を継承。JIMOTTOとのコラボ企画にも期待


― 今後、JIMOTTOが一緒にできそうなことはありますか?

地元のためになることがあれば、ぜひお声がけください(笑)

― ジモティビティで市場の探検隊ツアーを企画してみたいです

いいですね! それに、昔は各家庭で焼いて食べるのが当たり前だった焼き海苔ですが、それを知らない人が増えていますよね。焼いているときからフワっと広がる海苔の香りがいいんですよ。焼きたての海苔のおいしさを知っていただくためにも、焼き海苔体験というのも良いかもしれませんね。

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