“かながわのまつり50選”のひとつ、『曽我兄弟傘焼きまつり』に行ってきました!

2022年5月21日に小田原市下曽我にて開催された『曽我兄弟傘焼きまつり』。日本三大仇討ちのひとつとして数えられる「曽我物語」の曽我十郎・五郎兄弟が父の仇を討つ際に、傘を燃やして松明にしたという故事にちなんだ『傘焼きまつり』は、現在まで曽我の里において人々に愛され大切に守り続けられてきた伝統あるお祭りです。

新型コロナウィルスの影響で2年の開催中止が余儀なくされましたが、今年は基本的な感染対策も行い、屋外のみ規模を縮小して開催することができました。今年のお祭りは、「曽我兄弟の人形芝居」「松明行列」「傘焼き神事」の順に夕方〜夜にかけて行われ、私たちもお邪魔させていただきました。その模様をご紹介します!

曽我兄弟人形芝居「曽我物語 十郎・五郎出立の段」

開会式の会場は、宗我神社。こちらは曽我兄弟のお母様とも縁のある場所です。

曽我兄弟遺跡保存会会員の方々をはじめ、小田原市長やお隣の静岡県からも曽我兄弟の歴史に関わる方々が多く参列されていました。地元の方々も3年ぶりの開催にとても嬉しそうです。
国指定重要無形民俗文化財にも指定されている“相模人形芝居下中座”の皆さんによる新作のお披露目からスタート。今回の人形芝居は新作とあって、どうしても曽我の地で演じていただきたいと保存会がオファーし、実現されました。

新作は曽我兄弟が仇討ちに出発するところまでを題材にしたもの。相模人形芝居下中座の方は「小さなお子様から大人まで、みんなが楽しめるような芝居をしたい」と作り上げたそう。「この人形芝居を見て曽我物語を知っていただきたい、人間の心模様を感じてもらえたら」とおっしゃっていました。今回私は初めて人形芝居を拝見します。昔から伝わる芝居なので、どんな感じなのかわくわくします。

古語で芝居は行われました。ちょっと難しく感じましたが、途中クスっと笑ってしまう場面も何度かあり、終始見入ってしまいました。

40分ほどの人形芝居、最後は観客から盛大な拍手が!相模人形芝居下中座の皆さんも、最後は舞台へ顔を出してくださいました。

舞台に関わっていた方の数は、なんと24人!これだけの人が人形を操っていたとは、、驚きです!
人形芝居の後は、多くの方々に人形芝居を知っていただこうと人形と触れ合える時間が設けられていました。

“子天狗の朝日丸”という人形を触らせていただきました。小さめの人形ですが1体を操るのに3名も必要で、メインの顔と右手・左手・足に分かれて操っているそうです。

実際に操作させていただきましたが、手がつってしまうんじゃないかと思うくらい大変。スムーズに動かすためには、それぞれの修練の積み重ねと、合わせたときの息の重なりが重要なのだと感じました。昔から伝わる伝統文化に触れることのできた、とても貴重なひと時でした。

地元の小学生が松明を持ちみんなで練り歩く「松明行列」

曽我兄弟が仇討ちに向かう際に持っていたという、松明。「曽我物語」では和傘を松明の代わりにしていたそうですが、こちらのお祭りは傘を神事の際に燃やすため、宗我神社から神事の会場である梅の里センターまで松明を持って移動します。その松明を持つのは、地元 下曽我小学校の児童です。辺りが暗くなってきたころに宗我神社に集合し、松明を持って出発する予定です。

しかし、松明行列が始まる前から雨が強くなってしまい、今回は残念ながら中止となってしまいました。参加予定の小学生たちも、とても残念そうでした。松明が灯る行列を来年こそ見られると嬉しいですね。
松明はありませんでしたが、「傘焼き神事」を行う下曽我駅前にある梅の里センターまで移動します。

みんなの願い込め、傘を焼く「傘焼き神事」

「傘焼き神事」が行われるのは、JR御殿場線の車窓からも見える梅の里センターの駐車場です。神社から移動してきた人たちで、駐車場内は賑わっていました。若干雨が降っていましたが、予定通り傘焼き神事は開催できそうです。
こちらの神事は、和傘に願い事を書き、ご祈祷してもらうことができます(事前に申込みが必要)。

会場には、それぞれの願い事が書かれた和傘がズラリと並べられていました。和紙でできているので、ライトアップされるとなんとも幻想的な雰囲気です。

傘の前で宮司さんによるお祓いを行い、傘焼き神事のスタートです。参列する私たちもお祓いしていただきました。
続いて、傘を組み上げて点火の準備。保存会の皆さんが、手早く組み上げていきます。

今回点火に参加したのは、松明行列で松明を持つ予定であった小学生の男の子2名と保存会の方々、合わせて4名。それぞれの箇所から傘に火をつけていきます。

小雨も降っていたせいか、なかなか火がつきません…と、突然勢いよく傘に火が回り、炎が燃え上がりました!一瞬の出来事にびっくり!!炎が近くてとても熱さを感じます。参加していた子供たちも「きゃー」と声を上げ驚いていましたよ。

傘がどんどん追加され、炎はますます燃え上がります!

全て燃やし終えると炎は落ち着き、傘焼き神事も無事終了です。

これはぜひ、現地で体感いただきたい迫力です!

各地で行われる伝統行事も、この2年間我慢をすることが多くあったと思います。今回は、曽我の伝統行事に参加させていただき、特別な時間を過ごすことができました。由緒ある伝統行事は、今後も後世にしっかり伝えて守り続けていきたいですね。
神奈川県内には、昔から伝わる伝統行事やお祭りがまだまだたくさんあります。またどこかのお祭りにお邪魔することがあれば、こちらで皆さんにお伝えできればと思います!