大空を舞う大きな凧 体験レポート

2023.3.12

工程⑦ | 題字書き

大凧の顔である、今年の題字は?「題字書き」

“相模の大凧”と言えば、赤と緑で描かれた力強い2文字の「題字」。その年の様々な願いが込められた題字は、市民の方々より応募されたものの中から毎年選ばれています。令和5年度の題字は、昨年11月頃から12月中旬にかけて公募が行われました。今年はどんな題字が選ばれたのでしょうか?楽しみですね♪

「紙貼り」で貼り合わせた和紙が登場!

2月中旬に行った「紙貼り作業」(和紙を貼り合わせて大凧用の大きさにする)で作った和紙が登場です。
今回は、6間凧と3間凧の題字書きを同時進行で行っていきます!6間凧は大凧センターの大凧展示がある広い場所を使用し、多目的室を使って3間凧の題字書きを行います。

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ブルーシートの上に新聞紙を敷き詰め、和紙を一面に広げていきます。きれいな題字を書くために和紙同士の隙間をなるべく開けず、和紙に付けた紐を結んでつなげます。題字を書く際には和紙の上に乗るので、和紙がズレないように対策も行っておきます。これで下準備完了です。

和紙に線を引く

題字の文字は、相模原市長が直筆で書いた題字を基に、各地区がそれぞれデザイン(細かいはねやとめなどの筆使い)をしています。同じ題字でもデザインが少し変わるだけで、印象が違って見えます。
事前に作成した見本(設計図)を参考に和紙に題字を書いていくのですが、大きな和紙に大きく文字を書くため、“文字を書く”感覚ではなく“絵を描く”感覚なのだそう。
見本には、縦横それぞれに細かく線が書かれ番号が振ってあります。まず字を書く下準備として、見本と同じように和紙にも線を引いていきます。その際に使用するのは、大工さんが使う“糸のマーカー”です。

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端と端で糸を引っ張り、真ん中で糸を持ち上げ勢いよく落とすと…紙に真直ぐラインが付きます。便利な道具ですね。全ての線が引けたら、見本を基に題字の下書きを進めます。

炭入れと色入れ

下書きは、“炭入れ”と呼びます。“炭”入れ…?と思っていたら、本当に“炭”で下書きが始まりました!竹の先端にチョークのように炭が付いている道具を用い、見本を見ながら下書きをします。この作業が文字の形を決めるので、慎重に進めます。

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うまく書けずにやり直す時は、消しゴムではなく“食パン”が登場!炭を消すのは、食パンの柔らかいところがよく消えると教えていただきました。確かによく消えます!ちょっとびっくりですね。

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炭入れが終わり文字全体の形が整ったら、次は色を塗っていきます。右上の文字は太陽を表す“赤”で、左下の文字は大地を表す“緑”です。ただ塗るのではなく、筆で書いたような筆圧、濃さで色を塗っていきます。

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文字が大きいので塗るのも大変。すぐ乾くわけではないので、足場も考えながら全体を塗っていきます。

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ここで使う塗料は少し特殊だそうで、皮膚に塗料が付かないようゴム手袋をして行います。(肌につくと皮膚が荒れてしまうそうです…)
色が塗れたら、墨汁で縁どりします。この工程を行うことで文字がはっきりとしました。とてもかっこいい題字の完成です!

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令和5年度の題字は「勝風(しょうふう)」

今回、この「勝風」を応募し入選された方に偶然お会いでき、お話を伺いしました!
相模原市内に住み始めて約35年。相模の大凧まつりは、毎年のように会場へ足を運んで見てきたそうです。そのお祭りが3年間中止となり、日常の生活も普段と同じではなくなりました。1年前には海外で戦争も始まり、息苦しさがさらに増してしまいました。そんな暗いニュースばかりが続いていたので、“強い気持ちをもって、閉塞感のある生活を吹き飛ばすような強い風を!”“災いに勝って、頼もしい風が吹くように…”そんな思いを込めて「勝風」という題字を応募されたそうです。
お話を伺って驚いたのが、今回初めて題字を応募し、1度で入選されたこと!毎年応募される方や、お一人で複数応募される方もいらっしゃる中で初応募初入選とは…きっと強運を持っていらっしゃるのでしょう…!当日も大凧まつりに足を運んでいただき、強い風を呼び起こしてほしいですね♪

題字を書いた和紙は、大凧センターに吊り下げて乾かします。

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大凧の骨組みと和紙が完成しました!大凧の完成まであと少しです!次の作業もお楽しみに♪