大空を舞う大きな凧 体験レポート

2023.2.12

工程④ | 紙貼り

繊細で意外と重労働!大凧紙貼り作業

今日の作業は、大凧の“顔”となる和紙を貼り合わせていきます。“題字”を描く大切な部分ですね!皆さんも約4年ぶりに行う作業。密着取材では初めての参加です!
「れんげの里あらいそ 相模の大凧センター」内にある多目的室で行う本日の作業には、必要な道具や備品がいつも以上にたくさん。会員の方々が前日から準備をしてくださっていました。そのおかげで、今日もスムーズに作業をスタートすることができます。いつもありがとうございます!
部屋に運ばれてきた道具を見ると、ベニア板やボンド、刷毛、何やら四角い木の棒まで…どのように使用されるのでしょうか…?

感覚を取り戻しながら…紙貼りスタート!

この日は約20名の方々が作業に参加されました。大凧作りの設計図を基に、紙を貼る向きや貼り方などをまずは確認していきます。

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大凧に使用する和紙は、昔ながらの製法で作られている“手漉き和紙”。サイズも大きめなのですが、なんと1枚 350円ほど!無駄にしないよう、慎重に作業していきます!

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まずは和紙の裏と表を手触りで確認。塗りやすいように水で薄めたボンドでのり付けし、和紙を重ねて貼り合わせていくのですが、ここで活躍するのが四角い木の棒!どうやらこちらの棒は、和紙と和紙を貼り合わせる“のりしろ”の幅にカットされているよう。どの“のりしろ”も同じ幅で均等になるよう工夫されていました。

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1枚ずつ貼り合わせていくのかとおもいきや…のりしろ部分をあけながら10枚程和紙を重ね、一気にのりを塗っていきます!大凧に貼る大きな紙を短時間で作っていくので、作業にも無駄がない!ボンドが乾かないうちに和紙を重ねていきます。

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6間凧に必要な和紙は254枚、向きやサイズを変えながらひたすらに貼り合わせていきます。気が遠くなりそうな作業工程。さらに今回は3間凧も同時に作成しているので、6間凧分(254枚)が終われば終わりというわけではありません…!

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和紙はただ貼り合わせれば良いのではなく、凧が揚がったときの風の抜ける方向を考慮して設計されているそう。紙も竹も無駄にしないよう心掛け、とても細かく計算されて凧は作られていました。

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和紙を貼り合わせたら、一旦乾かします。午前中だけでは貼り終えることができなかったので、お昼休憩を挟んで午後も作業。紙貼りだけで4時間半ほどかかりました!皆さん、お疲れ様です!

竹と和紙を結びつける“糸”を通す作業

紙貼り作業は、これで終わりではありません…!
約4時間半かけて貼り合わせてきた和紙に、今度は糸を通していきます。私は午前中に、使う糸の裁断をお手伝いしていました。凧の大きさに合わせるので、長くて本数も多め…こちらも結構大変な作業でした。

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和紙に糸を通していく際に活躍するのがベニア板!よく見ると、和紙の寸法に合わせてマジックで印がしてあります。その印に合わせて和紙を置き、釘で固定します。この時にピンっと和紙がたるまないように張ることがとても大切なのだそう。

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端に糸を置き、こちらもたるまないよう張ります。位置が決まったらのりしろにのりを付け、糸を包みながら和紙をたたんでいきます。

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意外と簡単そうに皆さん行っていますが、和紙が破れないように、糸が中で動いてしまわないように、きっちり挟みこんで貼り合わせていきます。ちなみに糸を入れ込む和紙の大きさは6間凧がヨコ5620mmxタテ1530mm、3間凧がヨコ2780mmx740mm。それぞれ16枚ずつ和紙があり、その全てに糸を付けていきます。
紙を貼り合わせたり、糸を通したり、今日の作業はどれも腰を曲げての長時間の立ち仕事。皆さんも段々と疲労が溜まってきている様子。ですが、大凧の完成を目指し手分けをしながら最後まで作業を進めていきます!

糸通しも完了し、あとは乾かすのみ。大凧センター内にある大凧展示スペースを利用させていただき、6間凧は2階から1階に垂らす形で一晩乾燥させ、3間凧はブルーシートの上に並べてこちらも一晩乾燥させて完成です!(翌日、会員の方が乾いた和紙を回収されたそうです)

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この日の作業は、朝早くから日が暮れる夕方まで。紙貼りの工程がとても重要で、さらには重労働だということがよくわかる一日でした。次週の作業は、竹の骨組みを組み合わせる作業です。春らしい暖かさの中で作業できる日が待ち遠しいです。今回貼り合わせた和紙は、 3月中旬ごろに行う題字書きで登場します!次回の作業もお楽しみに♪