大空を舞う大きな凧 体験レポート

2023.4.16

工程⑪ | 糸目付け

最終作業 凧あげに欠かせない“糸目付け”

今日で、大凧制作は最終日!最後の作業は「大凧本体と引綱をつなぐ糸目付け」です。糸目の付け方で凧を空に揚げた時の傾き角度が決まる、というとっても重要な作業。風がなく、地面もぬかるんでいない最高のコンディションの日に作業をしないと、正確に糸目を付けることができないそうです。この日は絶好の作業日和!大勢の会員の方が集まりました。早速、作業スタートです!

まずは下準備、大凧本体に糸目を付けます

まずは、組み立てが完成して保管していた6間凧を広い場所まで移動させます。大きな凧なので、移動だけでも多くの人の力が必要です。

体験レポート画像01

前回の作業で伸ばした“糸目”を大凧の決められた場所に取り付けていきます。結び方も特徴的で、鎖のような結び方をしていました。

体験レポート画像02

この結び方をする理由を伺ったところ、空に揚がった際に糸目がほつれてしまっても3段階で結んであるため、完全にはほどけないそうです。この結び方はどの地区も共通で、昔から伝えられてきた結び方なのだそうです。結んだら糸目の反対側は引き延ばしておきます。この作業を糸目41本分!大凧の真下に入って付けるのは難しいので、両サイドから少し凧を持ち上げて結んでいきます。

体験レポート画像03

この時も油断はできません。どちらか片方を持ち上げすぎると竹は折れてしまうので、注意が必要!慎重に作業を進めていきます。
糸目にもそれぞれ役割があり、とっても重要なのが“みつかん”と呼ばれる3本の糸目です。両端(厳密には内側30㎝くらい)と大凧の中心(大凧下面から2つ上の竹)に取り付けられた3本で、これらが基準となり、大凧が空に揚がった際の角度を決めます。
他には“糸目”(凧で一番重要な役割を果たす糸)や“フリ”
(凧が揚がった際に揺れを止める他よりも少し長めの糸)、“ヒゲ”や“トラ”と呼ばれる、大凧の揚げ降ろしの際に調整する役目の糸もあります。

“みつかん”の調整は慎重に

基準となる“みつかん”の糸を大凧本体に取り付けたら、大凧の上部(空側)の中心にピンっと糸が張った状態で集めます。そこから約45㎝の所が“みつかん”の基準点。しかしここでトラブル…!今年の糸目は新品のため、引っ張るとまだまだ伸びる…。前回の作業で頑張って伸ばしましたが、さらに伸びてしまったそう…。指揮をとっていた方も「当日ちゃんと揚がるかな…伸びて心配だな…」とおっしゃっていました。

体験レポート画像04

今回は微調整も含め40㎝の所で基準点を確定!“みつかん”の糸をしっかり張った状態で束ね、50m先に止められているトラックの荷台(糸目をくくりつける木材付き)に仮止めしておきます。

さぁ!大凧の引っ立て開始!!

ここからはさらに大変な作業です!
前回の作業で作った引っ立て棒を使いながら、1辺10m80cmの大凧を起き上がらせていきます!

体験レポート画像05

力仕事でもありますが、気を抜けば大きな凧が倒れてきてしまうので危険も伴います。慎重に、掛け声を合わせて引っ立てていきます。

左右均等に上げていかなければ、今まで作ってきた竹の骨組みが「バキバキッ」っと折れてしまうことも…。少しずつバランスを見ながら上げていきます。

体験レポート画像06

引っ立てが終われば大きな拍手!河川敷をお散歩されている方々もこの光景に見入っていたようです。やはり大きな凧ですね〜!引っ立て棒をうまく使い、しっかりと立てかけられています。
50mほど離れたところにあるトラック(の木材)に糸目を張っていくのですが、まずは基準となる“みつかん”の糸から調整していきます。続いて上の段(空側)の糸を張り、まとめていきます。

体験レポート画像07

糸目の張りはとても慎重な作業であり、さらにしっかりと引き延ばすので力も必要です。
調整した糸の端の方をしっかりと固定し、固定した糸を今度は三つ編みにしてまとめます。三つ編みにした糸はお祭り当日に引き綱に付けるので、丈夫で頑丈な輪っかを作ったら完成です!

体験レポート画像08

会場づくりも同時進行!

糸目を張っている間に、大凧まつりの会場づくりも行いました。

体験レポート画像09

目を引くブルーとピンクののぼり。会長自身でデザインも色も決めたそう♪ 全部で100本近くののぼりを作り、河川敷の柵へ取り付けていきます!
取り付けが完了すると…

体験レポート画像10

一気にお祭り感が出てきました!心も弾みます!

お祭り前日まで地面に倒して保管

糸目を調整し終えた大凧は、元の状態へ戻して保管します。引っ立ててある状態から息を合わせ、掛け声と同時にゆっくり下ろしていきます。下ろす作業も上を見上げながらの力作業なので、危険が伴います。長年の経験と皆さんの意思疎通がばっちりなので、あっという間に下ろすことができました。
地面に下ろしたら、糸目を雨に濡らさないよう凧の下に竹をかませて地面から少し浮かせます。糸目はまとめてビニール袋に入れて大凧の上に置き、お祭り当日まで保管されます。

体験レポート画像11

これで大凧制作の作業は終了です。
題字を書いた紙はお祭り当日に貼り、凧を引っ立ててお披露目!昨年11月の竹伐りから今日までの道のりはとても長く、ほぼ毎週屋外での作業…体力を使う作業ばかりでした。
お祭り当日は、いいお天気で最高の南風が吹いてくれることを願うばかりです。

当日の様子も後日こちらでお伝えできればと思っていますが、ぜひ5月4日と5日は会場に足を運んで、大凧が揚がる様子を直に見届けていただけると嬉しいです。