
大矢製作所
Ohya Seisakujyo

高度な専門技術を追求し、100年企業を目指す
石炭や鉄鉱石などの資源を掘るマイニングという重機に使用される部品を主に製造している大矢製作所。分子レベルで結合する摩擦圧接や職人の手でしか再現できないヘラ絞りという高度な技術を追求し、BtoBだけではなくBtoCの商品の開発も進めています。
『健康で誠実な仕事をすること』を理念に100年企業を目指して、社員それぞれの働き方に合った環境づくりや、仲間を大切にしている大矢社長にお話を伺いました。

報道カメラマンから家業へ
町工場で生まれ育ちましたが、幼いころから継ぐという意識は全くなく、18歳で撮影プロダクションに入社し、報道とドキュメンタリーをメインとする撮影クルーのメンバーとして働いていました。この風貌で国会報道とかも行っていたんですよ(笑)
海外や被災地へ撮影に行くこともあり、2011年には東日本大震災の被災地へ。震災後、早い段階で現地に入り、全部リアルタイムで体感しました。その中で、地元の人たちが家業や伝統を守り抜こうとする姿を目の当たりにして、自分のルーツを意識するようになったんです。そこで家業に対する考え方が変わりました。自分にできることは何か…と。2人の兄は継ぐ気はない様子だったので自分が継ごうと決意し、29歳の頃に好きだった撮影の仕事を辞めて、「ちょっと働かせて」という具合に工場の仕事を始めました。父からは継いでくれと言われることは一切なく、後継ぎがいないから会社をたたむ気持ちでいたようなので、父も驚いたと思いますよ。

前職との差に戸惑いながら
最初は、技術のことも経営のことも分からず、工場の人たちのモチベーションの低さに驚きましたね。前職では常に変化がある現場にいたので、同じことの繰り返しということに慣れていなくて意識が朦朧としてくる感覚に襲われながらやっていました。自分自身に量産作業が向いていないとも感じました…。ふと、異素材を組み合わせる“摩擦圧接”という技術に興味を持ち、その技術をひとつひとつ解いていくことをやり始めたら面白くなったんです。それからは段々と、図面という一枚の紙にある指示をいかに効率よく作るか、というところに職人のクリエイティブがあるっていうのが分かるようになって。理解できてからは、ものづくりにはまっていきましたね。
タカツクラフトのメンバーに支えられて
全く違う業界から入ってきた僕に対して、タカツクラフトのメンバーがたくさんのことを教えてくれました。製造業の専門用語然り、間違っている部分は指導してくれたので、学んで、お客様との打ち合わせもできるようになりました。人間性を理解し、頭ごなしに否定するということはないのでとてもありがたいです。他のメンバーと会社の性質が異なる部分もありますが、基本的にものづくりという観点から言うと、意見交換や交流はとても勉強になります。
大豆選別機“用心棒”も
タカツクラフトメンバーと
タカツクラフトメンバーと一緒に開発して製品化した、大豆選別機 “用心棒”は、脱穀後の大豆を大・中・小のサイズに選別する専用機。小規模農家さんから大豆の選別に苦労しているというお話を受けて作ることになったのですが、同じ想いをもった仲間と試作を重ねながら製作しました。空いた時間を見つけての作業でしたが、メンバーそれぞれがお互いの事業規模を認識しながら作業を進めたので、急かすことなく、いい力加減であるからこそできたことだと思いますね。
自社製品の開発を通し、広く技術を伝えたい
依頼されてつくる仕事も楽しいですが、繋がりや関係性を拡げようと思うと、ものづくりのアプローチでしかできないということに狭さを感じるようになったんです。商品開発をしていく中で出会える繋がりが拡がって学ぶこともあったり、例えば“大豆選別機”といったツールが一つあるだけで行ける場所がずいぶん変わってくると実感しました。自社商品開発に取り組むことは、お金もかかるし、売れるかどうか分からないし、悩むところではありますが、いろんなところにお客さんを探しに行けるという利点があります。自分の会社の技術をしっかり使って世の中に伝えていきたいですね。
2024年12月に公開された弊社のショッピングサイトでは、アルミと銅を圧接した「お猪口」を販売しています。熱伝導が高い材質なので、冷えたお酒はずっと冷えたままいただけます。摩擦圧接とヘラ絞りという、大矢製作所の技術を全部詰め込みたいと思って開発して完成したお猪口です。それぞれの性質の気持ちを上手く合わせてあげないと出来ないので、試行錯誤しながら完成しました。摩擦圧接機は全国で約100社に設置してありますが、接合する条件を作れる会社は弊社も含め20~30社くらいしかなく、一品物から何でもやれるのも強みですね。実際に消費者に直接届けることを初めたのはうちだけだと思います。基本的には人の手に触れられるものをつくって売るのがマストになると思いますね。



Information
株式会社 大矢製作所
住所:[平間工場]〒211-0013 神奈川県川崎市中原区上平間363
TEL: 044-522-6247(代表) FAX: 044-522-6248
[横浜工場]〒223-0061横浜市港北区日吉7-22-57-8
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